中国古典小説選4 古鏡記・補江総白猿伝・遊仙窟 【唐代I】
こきょうき ほこうそうはくえんでん ゆうせんくつ
唐代の小説を代表する珠玉の3篇
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書名カナチュウゴクコテンショウセツセン4
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著者
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シリーズ
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定価7,040円(6,400+税)
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ISBN9784625663451
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Cコード0398
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出版社
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出版年月日2005/11/20
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判型・ページ数A5・276ページ
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在庫在庫あり
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ジャンル
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世にも不思議な物語誕生!師から譲り受けた古い鏡が、次々に不思議な霊力を発揮するという物語(「古鏡記」)。美しい妻を白猿にさらわれた男の復讐劇と、白猿の精を受けて誕生した子の出世にまつわる物語(「補江総白猿伝」)。旅の途中、絶世の美女と夢の一夜を過ごした男が、その女に再び逢うことができなくなった悲しみを綴った幻想的な物語(「遊仙窟」)。唐代の小説を代表する珠玉の3篇を収める。
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八世紀後半から九世紀初頭、いわゆる中唐期になって、「伝奇」と称される短編小説がまとまって現れ、そしてその最盛期を作り上げた。「伝奇」は、特定の個人が、意図的に構成した虚構にもとづく物語である。ここに、中国小説史上に初めて小説らしい小説が登場したわけであった。しかし「伝奇」は、この時期に突如として現れたわけではない。小説の原点とも言える「六朝志怪」と、中唐期に華々しく現れた一群の「伝奇」とを繋ぐ初唐・盛唐期に、いくつかの「伝奇」の前駆的作品が書かれているのである。本巻では、それら前駆的作品を三篇取り上げる。
古鏡記(隋から初唐にかけての人王度の作)=作者王度が譲り受けた古鏡が、つぎつぎに不思議な霊力を発揮する物語。 一つ一つのエピソードは六朝志怪と同様だが、それを繋ぎ合わせて一連の物語とした点に、六朝志怪とは異なる新しさが見られる。
補江総白猿伝(作者は不明)=山に住む不思議な白猿が人間の女をさらって行くという話。唐の大宗時代の名臣の一人欧陽詢の顔が猿に似ていたので、欧陽詢を椰楡、あるいは攻撃するために、彼の政敵がこしらえた物語である、とする説もある。
遊仙窟(張鷟の作)=作者自身が公務を帯びて黄河の上流に旅した折、神仙の住む窟に迷い込み、そこで神女に迎えられて一夜の歓を交えるという物語。六朝時代に流行した美文、四六駢儷体を駆使し、中に多くの韻文を混え、絢 瀾かつ夢幻的な作品世界を構成する。この作品は当時の長安の遊里での妓女との遊びの模様を描いたものとする説もある。
成瀬 哲生 著
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