中国古典小説選2 捜神記・幽明録・異苑 他 【六朝I】
そうじんき ゆうめいろく いえん
六朝時代の怪異を収めた
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書名カナチュゥゴクコテンショウセツセン2
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著者
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シリーズ
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定価7,040円(6,400+税)
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ISBN4625663431
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Cコード0398
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出版社
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出版年月日2006/11/25
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判型・ページ数A5・350ページ
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在庫品切れ・重版未定
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ジャンル
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本巻には、いわゆる「六朝志怪」を収める。後漢が滅びた(220)後、政治的には混乱期だが、儒教一辺倒から道家・仏教も入って文化的に多様化した。そして「怪異」も多く語られ、記録された。六朝期の最も古い『列異伝』をはじめ、超自然・不可知な民間説話、たたりなど、多彩を極める。
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三国・西晋・六朝時代は、政治的・社会的には混乱の時代であったが、思想・学問の分野では、儒教一辺倒の漢代とは変わって、道家思想・仏教も知識人の間で盛んに行われ、文化の多様化が見られるようになった。そのような趨勢の中で、〈怪異〉を語り、記録する風潮が現れ、盛んになった。そして、三国・六朝時代を通じて数多くの志怪書が著された。これらの志怪書の中で、最も古いものとして伝えられるのは、『列異伝』である。この書の著者として曹丕(魏の初代の皇帝、文帝)の名が残っている。その真偽はともかく、仮にも天子の位に即いた人物の名が志怪書の撰者として伝えられていることは、当時すでに、長く孔子の教えとして知識人を拘束していた「子は怪力乱神を語らず」という建前が失われていたことを示していると言えよう。
六朝時代を通じて数多く著された志怪書は、さまざまな内容と特徴を備えている。古くから伝えられる超自然的・不可知な要素を含む民間説話、そのときどきの事件や人物にまつわる不思議な話、風神・雨神・雷神・土地神・山川の神々に関する話、異常結婚・異常出産に関する話、神仙に関する話、動物の報恩・動物のたたりの話、幽鬼・幽界に関する話、異域の珍しい事物の話、孝子や烈婦の至誠が引き起こす奇跡の話等々極めて多彩であり、かつ興味深い。また、この時代に中国に浸透、伝播された仏教は、志怪にも大きな影響を与え、六朝中期以降には、仏教的因果応報・衆生輪廻の観念は中国固有の怪異 譚に色どりを加えた。
列異伝(魏・曹丕)捜神記(晋・干宝)捜神後記(晋・陶潜)幽明録(六朝宋・劉義慶)異苑(六朝宋・劉敬叔) =これらの書は、いずれも前に挙げたさまざまな話を網羅した観を備えている。幽明録、異苑には、仏教の影響を受けた話も含まれる。
博物志(晋・張華)述異記(梁・任昉) =山川等地理に関する異聞や、珍しい動植物に関する話などを多く集める。
神仙伝(晋・葛洪)神異記(晋・王浮) =土俗信仰がしだいに道教という形に整備されてゆく過程に生まれた方士や仙人の方術・仙術に関する話を多く集める。
宣験記(六朝宋・劉義慶)冥祥記(斉・王琰)=仏教信仰による奇跡、仏教の教理を説く話などを集める。
異林 / (晋)陸撰
繋観世音応験記 / (梁)陸杲撰
玄中記 / (晋)郭撰
五行記 / (隋)蕭吉撰
雑鬼神志怪 / 祖台之撰
志怪 / 曹眦撰
志怪 / 孔撰
拾遺記 / (前秦)王嘉撰
集異記 / (宋)郭季産撰
述異記 / (斉)祖沖之撰
述異記 / (梁)任昉撰
小説 / (梁)殷芸撰
甄異伝 / (晋)戴祚撰
神異記 / (晋)王浮撰
神仙伝 / (晋)葛洪撰
旌異記 / (隋)侯白撰
斉諧記 / (宋)東陽無疑撰
宣験記 / (宋)劉義慶撰
捜神記 / (晋)干宝撰
捜神後記 / (晋)陶潜撰
続異記
続観世音応験記 / 張演撰
続斉諧記 / (梁)呉均撰
博物志 / (晋)張華撰
冥祥記 / (斉)王琰撰
幽明録 / (宋)劉義慶撰
霊鬼志 / (晋)荀撰
列異伝 / (魏)曹丕撰
録異伝
佐野 誠子 著
竹田 晃 編
黒田 真美子 編