中国古典小説選12 笑林・笑賛・笑府 他 【歴代笑話】
しょうりん しょうさん しょうふ
後漢末の乱世に生まれた中国最初の笑話集
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書名カナチュウゴクコテンショウセツセン12
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著者
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シリーズ
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定価7,040円(6,400+税)
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ISBN9784625664113
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Cコード0398
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出版社
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出版年月日2008/11/10
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判型・ページ数A5・424ページ
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在庫在庫あり
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ジャンル
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中国には古くから、ユーモアや諧謔の要素を多く含む話が伝えられている。そのような伝統の中で、「笑い」そのものを追求する笑話集も数多く著された。新たな社会秩序が模索される時代、人々は笑い話に救いを求め、そこに様々な寓意を盛り込んだ。後漢末の乱世に生まれた、邯鄲淳の『笑林』は中国最初の笑話集であり、明末の混乱期に編まれた馮夢龍の『笑府』は、中国笑話史上の最高峰を形成した。本巻では、この二作品のほかに、隋の侯白の『啓顔録』、宋の蘇軾の編とされる『艾子雑説』、明の耿定向の『権子』、江盈科の『雪濤諧史』、趙南星の『笑賛』から味わい深い笑話を選んだ。これらの笑話は、日本の江戸時代の「小咄」にも大きな影響を与えている。宋の『新編酔翁談録』、明の『三台万用正宗』の笑話は、日本初の紹介である。
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中国においては、いにしえの思想家の文章にも寓話の類が多用され、またその寓話の中に読む者の笑いを誘うユーモアの要素が多く見られる。 『韓非子』に見える「矛盾」「守株(待ちぼうけの話)」などは特に有名である。また『列子』には「耳を掩いて鐘を盗む」ような話もある。このように、ユーモアや可笑味を好む伝統の中で、やがて「笑い」そのものを追求し、語り伝える「笑話」が現れるに至った。
中国最古の笑話集は後漢末の邯鄲淳による笑林である。以後『啓顔録』(隋、候白)・「艾子雑説」(宋の蘇軾の箸と伝えられるが疑わしい)…と、笑話集は歴代作り続けられたが、なんと言ってもその頂点を極めたのは明代であった。笑賛(趙南里)・笑府(墨憨斎主人)を始め量的にも多くの笑話集が現れた。六朝末期の劉勰(四六四~五二○)は、その名著『文心雕龍』の中に「諧隠」の一編を設け、「古の嘲隠は、危きを振い、憊れたるを解く」と述べ、ユーモアや可笑味を含む文章が、読者の緊張感をやわらげる効用がある、と指摘する。同時に劉勰は、「空しく滑稽を戯るる時は、徳音大いに壊る」と述べて、過度な可笑味や、下品な冗談の横行を戒めている。しかし、読む者を抱腹絶倒させる明代の笑話集の中には、「徳音大いに壊る」と劉勰の眉をひそめさせるような類の笑話も数多く語られる。また、明代の笑話は日本の「江戸小咄」にも大きな影響を与えた。本巻では、これら明代の笑話に重点を置いて、中国における「笑話の粋」を紹介する。
啓顔録 / 侯白撰
東坡居士艾子雑説 / 蘇軾撰
新編酔翁談録・嘲戯綺語 / 羅燁撰
権子 / 耿定向撰
雪濤諧史 / 江盈科撰
笑賛 / 趙南星撰
三台万用正宗・笑謔門 / 余象斗撰
笑府 / 馮夢龍撰
大木 康 著
竹田 晃 編
黒田 真美子 編