中国古典小説選12 笑林・笑賛・笑府 他

中国古典小説選12 笑林・笑賛・笑府 他 【歴代笑話】
しょうりん しょうさん しょうふ

後漢末の乱世に生まれた中国最初の笑話集

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中国には古くから、ユーモアや諧謔の要素を多く含む話が伝えられている。そのような伝統の中で、「笑い」そのものを追求する笑話集も数多く著された。新たな社会秩序が模索される時代、人々は笑い話に救いを求め、そこに様々な寓意を盛り込んだ。後漢末の乱世に生まれた、邯鄲淳の『笑林』は中国最初の笑話集であり、明末の混乱期に編まれた馮夢龍の『笑府』は、中国笑話史上の最高峰を形成した。本巻では、この二作品のほかに、隋の侯白の『啓顔録』、宋の蘇軾の編とされる『艾子雑説』、明の耿定向の『権子』、江盈科の『雪濤諧史』、趙南星の『笑賛』から味わい深い笑話を選んだ。これらの笑話は、日本の江戸時代の「小咄」にも大きな影響を与えている。宋の『新編酔翁談録』、明の『三台万用正宗』の笑話は、日本初の紹介である。

中国においては、いにしえの思想家の文章にも寓話の類が多用され、またその寓話の中に読む者の笑いを誘うユーモアの要素が多く見られる。 『韓非子』に見える「矛盾」「守株(待ちぼうけの話)」などは特に有名である。また『列子』には「耳を掩いて鐘を盗む」ような話もある。このように、ユーモアや可笑味を好む伝統の中で、やがて「笑い」そのものを追求し、語り伝える「笑話」が現れるに至った。
中国最古の笑話集は後漢末の邯鄲淳による笑林である。以後『啓顔録』(隋、候白)・「艾子雑説」(宋の蘇軾の箸と伝えられるが疑わしい)…と、笑話集は歴代作り続けられたが、なんと言ってもその頂点を極めたのは明代であった。笑賛(趙南里)・笑府(墨憨斎主人)を始め量的にも多くの笑話集が現れた。六朝末期の劉勰(四六四~五二○)は、その名著『文心雕龍』の中に「諧隠」の一編を設け、「古の嘲隠は、危きを振い、憊れたるを解く」と述べ、ユーモアや可笑味を含む文章が、読者の緊張感をやわらげる効用がある、と指摘する。同時に劉勰は、「空しく滑稽を戯るる時は、徳音大いに壊る」と述べて、過度な可笑味や、下品な冗談の横行を戒めている。しかし、読む者を抱腹絶倒させる明代の笑話集の中には、「徳音大いに壊る」と劉勰の眉をひそめさせるような類の笑話も数多く語られる。また、明代の笑話は日本の「江戸小咄」にも大きな影響を与えた。本巻では、これら明代の笑話に重点を置いて、中国における「笑話の粋」を紹介する。

笑林 / 邯鄲淳撰
啓顔録 / 侯白撰
東坡居士艾子雑説 / 蘇軾撰
新編酔翁談録・嘲戯綺語 / 羅燁撰
権子 / 耿定向撰
雪濤諧史 / 江盈科撰
笑賛 / 趙南星撰
三台万用正宗・笑謔門 / 余象斗撰
笑府 / 馮夢龍撰

大木 康

1959年横浜生まれ。1986年東京大学大学院人文科学研究科博士課程(中国文学専攻)中退。文学博士。現在、東京大学東洋文化研究所教授

竹田 晃

1930年、東京生まれ。1943年(昭和18)、東京高等師範学校附属中学校(現、筑波大学附属高校)に入学。野球部に入部。1946年(昭和21)8月、第28回全国中等学校優勝野球大会に東京代表として出場、ベスト4。1949年東京大学(新制)入学、野球部入部。1950年東京六大学野球リーグ戦に初出場。1953年東京大学野球部助監督、1954年同監督就任(1955年6月まで)。1959年東京大学大学院中国語中国文学専門課程修了。東京大学名誉教授、明海大学名誉教授。主要著書に、『中国古典小説選全12巻』(共編、明治書院)『中国の幽霊』(東京大学出版会)『岩波新漢語辞典』(共編、岩波書店)『漢字源』(共編、学習研究社)ほか。

黒田 真美子

大阪生まれ。1991年東京大学大学院博士課程単位修得修了。1993年ミュンヘン大学大学院Promotion Gang単位取得修了。2007年、法政大学教授。